株式会社Flucleの合宿記事ファンの皆さま、お待たせいたしました。
合宿記事担当の本田です。

これまで頑なに「ベンチャーの経営合宿は、自然の中でやるべき!」という姿勢を貫いてきた弊社ですが、2022年の春&秋合宿は大人の事情が絡み合い、「合宿プランのある大阪市内のホテル」で開催されました。

ベンチャー魂を捨てたと思われても仕方ありません。ホテルでの合宿なんて珍しくもなんともありませんし、日本中の会社員がこっそりと「めんどくせぇ」と思っている社員研修と何ら変わりません。

本田も、行く前から「ホテルでの合宿なんて、仕事っぽくてめんどくせぇ」と思っていました。自然に囲まれた非日常空間での合宿だと思えばこそレクリエーション感も芽生え、結果的に「新緑に癒やされた…脳が開放された…」というトランス体験が生まれます。だからホテルでの開催は反対でした。

とはいえ「今回はホテル!」と決まった以上、全力投球するしかありません。

この記事では、2022年の2回の経営合宿での試みと、その先にある(かも知れない)明るい未来について書かせていただきます。

2021の合宿記事はこちら

2022年5月 ~知るための春合宿~

今回の合宿の参加メンバーは総勢16名(リアル15名、オンライン1名)という大所帯。うち「合宿に初参加」も5名いました。

しかし大丈夫。大きなホテルですから、場所に不足はありません!

合宿経験者からは、「ホワイトボードがある…」「プロジェクタとスクリーンがある…」「Wi-Fiがサクサク動く…」「冷房が効く!」「そのうえ1階にコンビニもあるだなんて…!?」と驚きの声が上がります。

「これが文明か…」

何かを捨てると、何かが手に入る。
当たり前の真実に気付かされた瞬間でした。

以前の合宿場所の名誉のために書かせていただくと、決して悪い環境ではありませんでした。緑に包まれアンティークインテリアとゆったりした浴場を楽しめる、リトリートやデジタルデトックスには最高の空間です。しかしデジタル環境はととのっておらず、「便利さ」を求める場合には不向き。

この「超不便」から「超便利」に全振りする感じ、なんだかんだいって我が社らしい気もします。ぬるっとした、いつの間にかの変化をよしとするのではなく、「真逆でいいんじゃない? その結果で次回どうするかみんなで決めようぜ」というスタンス、悪くないですよね。

なぜ、知る必要があるのか

メンバーが増えて意見がばらけると、特に賛成と反対が明確に分かれると、とかく折衷案が採られます。「折衷案」はくせ者です。意見の中間に最適な答えがあるわけがありません。

人間関係を優先するときや、慎重さが求められるケースもあるでしょう。しかし挑戦と判断の繰り返しを続ける小さなベンチャーでは、最適解に至るまでのつづら折りの道を何とかショートカットする必要があります。

だから真逆の方法を試し、課題や気付きを元に、徐々に「ここだ!」というところに調整する。これこそが、その道を通っていない企業には絶対に見つけられない「実体験からチューニングした最適解」です。

最適解を探す道も視野が狭くては見つけられませんし、逆にひとりが自分最適を主張しても、間違った方向に行ってしまいます。

そこで必要なのが、使い古された言葉ですが「チームワーク」。

今回の合宿は、これまでとプログラムが大きく変更され、2日間のワークのほとんどがコミュ二ケーションと相互理解のための時間となっていました。

人を知る

リモート組織では、何年も一緒に働いているのに、相手のちょっとした人生の背景や趣味を知らない…ということありますよね。

コミュニケーションの基本は自己開示。まずは自分の「偏愛マップ」で、好きなものを全員に公開します。その後は、チームでペーパータワーを積み上げて、腹筋がよじれるほど爆笑したり、

メンバーの似顔絵を描いて「これは誰でしょう!」を当てっこしたりというレクリエーション的なプログラムが続き、

点数を多く獲得したチームには、合宿の癒やし「高いお菓子」が授与され、あっという間に午前中は終了です。他者理解を深めるには、結局のところ「同じ何かをする」が最適解なのでしょう。


他部署を知る、事業を知る

午後は「他部署を知る」に続き、今回イチの重たいプログラム「事業を知る」カテゴリが始まります。

ここでは共感マップとVPC(バリュープロポジションキャンパス)を作成。いったい私たちは、何のために、誰のために事業を進めているのか。それはユーザーの役に立っているのかを考え抜くワークが続きます。

机の上がカラフルな付箋たちで埋め尽くされていきます。メンバーが増えても、「短時間でアイデアを付箋に書きまくるワーク」が成立するのはスゴいことだと感じます。今後も「あいまいなアイデアを書き出すことに忖度や恥を感じる必要のない」組織でありたいものです。

1日目の最後は「ブランディングを考えるワーク」。もう頭も心もヘトヘトですが、皆で「自社サービスを擬人化すると、どんな人だろう」というお題に向き合い、全プログラムがオンタイムで終了しました。

年に2回の、全員で笑い合える時間

夕食は風に吹かれてのBBQ。その後は屋内の懇親会会場へ。

フルリモートメンバーも多いため、全員で仕事以外の時間を過ごす機会は年に2回の合宿しかありません。

乾杯の挨拶で無茶振りされるなぞかけも、急に始まる腕相撲大会も、「この人にこんな一面が」という気付きと笑いに溢れていました。

人も部署も、「知れたか」をバロメーターではかることはできません。だからこそ同じ空間で時間を過ごし、自分と、まわりの価値観や空気感をチューニングする機会は大切です。結果「合わないな」と感じたら、無理をして一緒にいる必要はないのです。合宿は、会社とメンバーがそれぞれの相性を確かめる貴重な機会でもあるはずです。

2日目

前日の「人を知る」「部署を知る」「会社を知る」「事業を知る」を経て、2日目のテーマは「未来を考える」からスタートです。

未来のビジネスブレストは、既存サービスはいったん横に置き、柔軟な視点で「面白く、スケールしそうな事業」を考えるチーム戦。このようなワークでは自分のアイデアの限界を「知る」こともできます。

優勝チームには何故かしわくちゃの「社長の口癖Tシャツ」が配布され、カオスな未来が見え隠れするも、その後のプログラムも順調に進み、株式会社Flucleの大行事、経営合宿が無事に終了しました。

大人の事情でホテルへと場所を移し、これまでと異なるスタイルで実施した春合宿。

ベンチャー感が薄れてしまう…という危惧があったのは事実です。しかしベンチャー企業とはそもそも「こうあるべき」という「べき論」とは無縁の、多種多様な存在のうごめく集合体であるはず。

たとえその場所がどこであっても、何を売っていても、魂は常に「刺激を求め、新しい世界に向かう」。このメンバーでなら、どこで合宿したって大丈夫。そう思えることが大切なのだ、と認識できたことが、2022年春合宿の大きな収穫でした。

⬇ 秋合宿へ続きます ⬇

2022年11月 ~バリューを考える秋合宿~

秋合宿も、これまた大人の事情が重なり、春と同じ会場で行われました。

参加人数はさらに増え、20名での実施です。今回から「合宿実行委員会」が立ち上がり、Notionで「合宿のしおり」が作成され、きめ細やかな準備が行われました。

春の主題は「知る」でした。他者理解がないことで起きるコンフリクトの回避、そして一丸となって事業に取り組む体制の基礎づくりが必要だったからです。

秋合宿はそこからさらに一歩前進して、いよいよ組織づくりに着手!

秋合宿のテーマはずばり
「ミッションビジョンバリューを定め、会社の価値観を明らかにする2日間 」となりました。

この秋には初めての資金調達リリースも出しており、事業の正念場を迎え、ステークホルダーに対する責任も増加しています。全員の意識統一は、サービス拡販以前の重要事項。そう思い、秋合宿をミッションビジョンバリューに全振りしました。

1日目 スタート

合宿ではプログラムごとに担当ファシリテーターが振り分けられ、目的に沿ったワークを考え、当日の運営までを担当します。

アイスブレイクのファシリテーターは全員が合宿初参加でしたが、意図を汲み取った、頭脳戦でのコミュニケーションワークを実施してくれました。

場をほぐして、いよいよメインテーマに進みます。

会社経営は遊びじゃないからさ…

これまでも毎回の合宿でブランディングワークを行うなど、CI(コーポレートアイデンティティ)に繋がる施策は時折行っていましたが、ミッションビジョンバリューについて全員で取り組むのは初めてです。

まずはこれまでのサービスの歴史を知る時間を取り、「なぜ、私たちが労務業界でサービスを展開しているのか」「最初のトライはどこから始まったか」を共有し、主語を自分から「社会 / ステークホルダー」に移してのワークが延々と続きます。

ミッションビジョンバリューがない組織では、一時的にうまくいったり進捗があっても、中長期的な方向性が定まらず、いずれ瓦解し、大きな結果を生むことは難しいと考えられます。

遊びやアイデアベースの試みならそれでもよいでしょう。しかし会社経営はお遊びではありません。結果を出さないと潰れ、給与も出なくなります。

従業員も自ら選んでその「会社」に属している以上、会社の存続に対して責任を負っています。だからこそ成功確率が高いノウハウの導入と実践をしていこう、というのがミッションビジョンバリューを取り入れている企業の総意ではないでしょうか。

おやつとコーヒーがどんどん減っていきます。

仕上がりは、全員が「守りたくなるバリュー」である必要があります。そしてもちろん、全員がバリューに沿った行動を取ることでミッションが達成できなければいけません。

バリューは、ひとりよがりではいけないのです。

株式会社Flucleのミッションは「働くをカラフルに」。このミッションに共感して入社してきたメンバーも多く、創業時からフルリモートフルフレックス、副業OKという自由な社風であっても事業を推進してくることができています。

しかしここから先は自分の働きやすさだけを優先するわけにはいきません。どこに属し、何を提供するのか。自分はどんな組織ならそこに人生の時間を費やせるのか、自分がかかわることで社会にどのような変化を与えられるのか…。

「私たちがこうしたい」「こう働きたい」だけではなく、その生き方 / 働き方が社会にどう影響するのかを考え抜き、自らの働き方と会社との関係を再構築するためのブレストが続きました。

ひとりでPCに向かっても出ない答えも、他のメンバーと同じ環境で付箋に向かうことで思考のスイッチが切り替わります。他者の意見も役に立ちます。

「そういう視点もあるのか」「確かにそうだな」という発見が、自分の中から新たな言葉を引き出します。

ゼロから、全員でつくるバリュー。多くのキーワードがホワイトボードを彩りました。

食べて飲む。あとは自由だ!

1日目のワークをすべて終了させ、頭を切り替えて夕食&懇親会に向かいます。

思い思いにビュッフェスタイルの食事を取り、合宿懇親会担当チームが趣向を凝らしたイベントを楽しみました。

ひとしきり大笑いをしたあとは、和室に移っての自由な飲み会。
合宿初参加のメンバーの顔もだいぶほぐれています。

山奥と違い、1日目で「ヤバい…」と思ったら脱走できる環境です。明日、無事に全員が会議室に集合できますように。そして、少ししんどかった時間も、数か月、数年後には「合宿をやっておいてよかった」という結果に換えられますように。

2日目

2日目は、朝イチのプログラム変更から始まりました。

前日のワークでバリューの基礎となるキーワードは多く出ましたが、その中でもコアとなりそうないくつかの言葉の深掘りが足りないのではないか、という代表の意見を踏まえ、追加ワークを差し込みます。

時間内にいいところまで持っていくため、早朝から準備を行います。また時間変更をその後のワーク担当者に相談し、内容を微修正。いくら綿密に準備をしても変更は出るものです。そして、合宿は実施が目的ではありません。よい成果の持ち帰りのためには柔軟にプログラムを調整することも必要です。

急遽差し込まれたワークでしたが、前日の要素をもうひと掘りできました。

この言葉たちは、数か月後には「全員で決めたバリュー」となって戻ってくるはずです。

部署ごとの半年間の振り返りを済ませ、午後はマネージャーとマネージャー以外に分かれた研修です。実は階層別の研修をするのは初めて。これまで「とにかく全員で」が成り立っていたのですが、いよいよ、それぞれの階層の課題や目標に照準を当てた時間が必要になってきたようです。

予定時刻を少し超過し、すべてのプログラムが終了しました。

最後に、合宿初参加のメンバーに感想を聞いて締めます。
(ポジティブな意見が多く、本当にほっとしました)

会社で行く合宿は、どうしてもネガティブな文脈で語られがちです。しかし小さなベンチャーで行われる合宿は、決して予算消化のためでも、伝統行事でもありません。必要だから、行われるものです。

同じ目標を目指して、人生の一定時間をともに過ごすメンバーと過ごす時間は、ネガティブなことだけではない、と思いませんか?

「コミュニケーション」「組織づくり」にフォーカスした2022年の合宿。次回は、どんな場所で、どんなテーマで行われるのでしょう。社内でもサッパリ予測が付きません。

しかし、どこで行われようとも、合宿クオリティは絶対に下げたくありません!

決して、今から入社してくれるメンバーに
「まじ辛かったです」「記事のイメージと違いました」
などといわれることのないように。

合宿が形骸化し、語り部が「昔の合宿はベンチャー感があってだな…」
などと伝えていく必要のないように。

とにかく、お疲れさまでした!


お読みいただきありがとうございました。社内記録用…と思い、このように書き綴っている合宿記事ですが、求人に応募してくれる方から「読みました!」といっていただく機会が多く、書き手としては驚いております。

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ミッションビジョンバリューや、社内で生まれるカルチャーも、随時発信していきたいと考えております。

引き続き「働くをカラフルに」を体現した組織とサービスを目指していきますので、引き続きよろしくお願いいたします。